昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
実は当ブログ、投資家の皆様のみならず米国にお住いの不動産エージェント志望の方々によく使われています。
米国では基本的に州法の関係で州ごとに縦割りになっており、不動産ライセンスもその州のライセンスが必要になります。
カリフォルニア州で不動産エージェントとして活動するのならカリフォルニア州エージェントライセンスが必要になり、ニューヨーク州で活動するのならニューヨーク州のエージェントライセンスが必要です
9(厳密には呼び方もセールスパーソン、エージェント等、州ごとに違いがあります)。
それでも不動産エージェントが持つべき不動産知識の中には「全州で共通する法律(コモンロー)」があり、このコモンローに関してはどこの州のエージェントでも決まりごとが同じとなり、どの州で試験を受けても似たような試験が出てくることになります。
そこで当ブログ内容が不動産エージェント試験を受ける日本人の方々にとって専門知識を日本語で解説する内容が使えるらしく、たまに勉強中の方々からお問合せを頂くことがあるのです。
そこで専門知識や専門用語に関する項は久しぶりですが、本日よりしばらく、アメリカで共通する不動産知識に関して日本語で項を上げてみたいと思います。
今日はLand(土地)に関する専門知識です。
Land(土地)
アメリカ不動産においてLand(土地)という時、それは
Surface(土地の表面)
Mineral(鉱物)
Airspace above the land(土地上の空間)
Water right(水利権)
の4つを含むことになります。
「土地の表面は私に所有権がある」
「土中の鉱物も私に所有権がある」
「土地内にある水についても権利がある」
これらは分かりますが、興味深いのは
「土地の上の空間も私に所有権がある」
というものです。
土地という概念にその上の空間が含まれるというのも面白いものですが、それではこの空間はどれくらいの高さまで所有物になるのかといえば、
「はるか上空の彼方」
までです。
少し前にドローンが人様の家の上空に紛れ込んだ時に、腹を立てた家主が銃でドローンを打ち落とすという出来事がありました。
法的にいえばこのドローンはLand(土地)の所有範囲を侵害したわけで、少なくとも侵入に関して文句は言えないことになります。
そして土中はどの範囲まで自分の所有になるのかといえば、答えは「マントルの中心」までです。
物件に影響がない限りは土中に何があろうが気になりませんが、厳密にははるか地球の中心まで自分が所有していることになります。
そこでLand(土地)が売却されると、その範囲にあるMineral(鉱物)の権利も自動的に移転することになります。
また土地所有者のWater right(水利権)には、その土地の上か下、または隣接する水を適切に使用する権利が含まれています。
これらのWater right(水利権)そのものは移転、強制収用、または時効等で、その権利が分離されることがあるのも特徴です。
Land(土地)に関する権利の中でもWater right(水利権)はやや複雑ですが、少し細かくみていきましょう。
Riparian rights(河川権)
Riparian rights(河川権)は「移動する水(小川、川、河川、または水路)」のことを指しています。
川や小川が土地の境界である場合、河川権所有者が所有する範囲は「川や小川の中央点まで」です。
これに対しその川が航行可能な水路の場合、所有者は川の中央点までではなく、「水辺(土地が川になるギリギリのライン)まで」の土地のみを所有するとされています。
流れる小川は不動産であり、河川権の所有権に関しては役所に登録されている公的記録を見るだけでは正確に判断することはできないものです。
Littoral rights(沿岸権)
Riparian rights(河川権)に対し、Littoral rights(沿岸権)は「非移動水(池、湖、海)」を指しています。
私自身はRiparian rights(河川権)とLittoral rights(沿岸権)の違いを覚える時、
Riparian rights(河川権)⇒ Riverの「R」
Littoral rights(沿岸権)⇒ Lakeの「L」
で覚えていました。
Appropriation(取水権)
Appropriation(取水権)は水の権利に関する言葉で、政府の判断でその土地を所有していない非河川権所有者に対して、土地所有者や公共の水路から水を取る許可を与えることができる権利です。
例えば農作物に水が必要となる場合、政府判断で必要とされればAppropriation(取水権)が付与され、その農作物に必要な水を所有していない水路から引いてくることが出来るわけです。
Accession(增加)
土地に関してAccession(增加)という言葉が出てくるとき、特にWater right(水利権)については「新たな土地を取得すること」を意味する場合がほとんどです。
例えば河川や海などの自然現象で自ら土地現れて土地が増えた場合、(例:堆積や露出)、その増加分は土地の所有者のものとなります。
Accretion(堆積)
Accretion(堆積)は川や小川に隣接する土地に徐々に土地が追加されるプロセスのことを言います。
個人は堆積の結果としてその土地の権利を取得することになります。
結果としては先のAccession(增加)になりますが、その堆積していくプロセスがAccretion(堆積)です。
Alluvion(堆積物)
Alluvion(堆積物)はAccretion(堆積)の過程で増えていく土のことを示しています。
Avulsion(剥離)
そして積みあがっていくAccretion(堆積)の正反対がAvulsion(剥離)です。
水の流れによって土地が侵食されてしまい、最後には土地が崩れ落ちて流され、土地が引き裂かれた結果に所有する土地がなくなる現象です。
Erosion(浸食)
Erosion(浸食)は自然の力によって土地の徐々に減少していくことを指します。
グランドキャニオンの地形も風と水で徐々に削られていったわけですが、これもErosion(浸食)の結果です。
前でのAvulsion(剥離)はErosion(浸食)の結果であり、浸食は権利の喪失をもたらすことになります。
Reliction(露出)
Reliction(露出)は海や川が恒久的に除かれたことによる土地の増加です。
それまでは水面下にあった土地が、その土地の水が失われることで水面下にあった土地が露出する現象をReliction(露出)といいます。
水に関する権利や現象の言葉は不動産用語として上記のように数多く出てきますが、概ね上記を押さえておけば大丈夫です。
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