こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
常日頃
アメリカ不動産に直接投資してみたい方
アメリカで住居物件を購入したい方
の双方からお問い合わせを頂いていますが、そのお問い合わせ者の中から一定数の方々は実際に物件購入へと進んでいかれます。
そして
- 契約
- 保険契約手続き
- 物件管理契約手続き
等の直接契約のお手伝いをするのが弊社サービスの一つですが、購入手続きに入る方々が躓くのがやはり
「契約書内の専門用語」
です。
英語から日本語への翻訳は今の時代に困ることはないとして、それでも特に専門用語の場合は英語から日本語訳ではニュアンスが大きく崩れてしまうもの。
日本語に訳すことで余計によく分からない難解な言葉になることは少なくなく、そのような場合は日本語での意味合いを嚙み砕いてお伝えしています。
特に厄介なのは契約に関する用語は契約書の中に出てくるのみならず、
- 現地ブローカー
- 物件調査専門家
- エスクロー担当者
といった各種専門家たちとの文章のやりとりの中でもよく出てくるのです。
そこで今回は契約に関する用語の中でも不動産エージェント試験にも出てくる用語、また実際に購入を進める上で知っておいた方がよい用語について押さえてみましょう。
ここではごく基本的な用語のみに絞ってみたいと思います。
Unilateral Contract(ユニラテラル コントラクト、一方的契約)
Unilateral Contract(ユニラテラル コントラクト)とは一方の当事者が他方に何らかの行動を促すための約束をする契約です。
Unilateral Contract(ユニラテラル コントラクト)では第二当事者に行動する義務はありませんが、もしも相手が行動を起こす場合、第一当事者は約束を果たす義務が出てきます。
例えばオープンリスティングの場合、物件の所有者(売主)は複数の不動産ブローカーに対して販売の代理を依頼します。
ここで売主はどの不動産ブローカーも物件を売る義務を負わない一方的な約束をしているわけです。
もし不動産ブローカーの一人が買い手を見つけた場合、その不動産ブローカーにのみ報酬を支払うという契約になります。
他の不動産ブローカーが買い手を見つけられなくても売主はそれに対して何の責任も負うことはありません。
かくしてUnilateral Contract(ユニラテラル コントラクト)は通常の契約と異なり、約束をする側と約束を受ける側の間に不均衡を生ずることになります。
約束を受ける側が行動に移すかどうかは完全に自由な一方で、一度行動に移したら約束をした側はその行動を尊重して約束を守る必要が出てくるのです。
Bilateral Contract(バイラテラル コントラクト、二者間契約)
その一方でBilateral Contract(バイラテラル コントラクト、二者間契約)とは、一方の当事者の約束が他方の当事者の約束と交換される契約のことです。
言い方を変えると「約束と約束の交換」とも言えるわけです。
契約の当事者はそれぞれに行うべき約束があり、それらの履行が求められます。
例えば独占的リスティングの契約では物件の所有者は一つの不動産業者にのみ販売の権利を与えることになります。
所有者はその不動産ブローカーが買い手を見つけることを期待し、不動産ブローカーは物件を売る努力をするという約束をします。
ここで所有者は他の不動産ブローカーには販売を依頼できませんし、不動産ブローカーは物件を売る義務が生ずるのです。
買い手が見つかった場合、所有者は約束どおりに物件を売り、不動産ブローカーはその売上から報酬を受け取るという流れになります。
このBilateral Contract(バイラテラル コントラクト)は両方の当事者が相手方の行動やパフォーマンスに対して法的な義務を負う契約となり、これが履行されない場合は契約違反とみなされます。
お互いの約束が契約の成立と履行の鍵となるわけです。
Executory Contract(エクスキュートリー コントラクト、履行待ち契約)
Executory Contract(エクスキュートリー コントラクト、履行待ち契約)とは一方または両方の当事者によってまだ何か行われるべきことが残っている契約を指します。
Executory Contract(エクスキュートリー コントラクト)ではすべての約束がまだ完全には果たされておらず、将来のある時点で契約に従って行動を起こす必要がある状態です。
つまり「契約の条項が完全には履行されていない状態」を言います。
例えば新築住宅の購入契約を考えてみましょう。
購入者は建設業者と契約を結び、完成した住宅を一定の価格で購入すると約束します。
この時点で建設業者はまだ家を建設中であり、購入者はまだ購入代金を支払っていません。
契約は結ばれていますが、家の建設と代金の支払いという重要な義務がまだ完了していないためにこれはExecutory Contract(エクスキュートリー コントラクト)になります。
Executory Contract(エクスキュートリー コントラクト)の特徴は契約自体が有効であるにもかかわらず、約束された義務や行動が未来のある時点で完了することを前提としている点です。
この種の契約は日常生活において非常に一般的であり、例えば
- 商品の予約購入
- サービス契約
- 工事請負契約
などがこれに当てはまります。
契約の当事者は契約の条項に従って将来的な履行を確約するわけです。
Executed Contract(エクスキューテッド コントラクト、履行済み契約)
Executed Contract(エクスキューテッド コントラクト、履行済み契約)とは両当事者がそれぞれの義務を完全に果たした契約のことを指します。
先のContract(エクスキュートリー コントラクト)の未来形であり、すべての約束された行動や条件が契約に基づいて実行され、もはや当事者間で履行されるべき事項は残っておらずに契約が完全に「完了」した状態です。
例えば先の続きで家の売買契約で考えてみましょう。
売主と買主が契約を結び、売主は家を買主に引き渡し、買主は約束された金額を売主に支払います。
この取引が完了して売主が家の鍵を買主に渡し、買主が売主に全額を支払った時点でこの契約は「履行済み契約」となります。
Contract(エクスキュートリー コントラクト)の特徴は契約の成立から完全な履行に至るまでのプロセスが終了していることです。
契約に関連する一連の義務や取り決めが完了しているため、契約上の責任や義務に関する追加的な行為を要求することは通常ありません。
結果としてContract(エクスキュートリー コントラクト)は法的な争いの対象となることが少ないともいえます。
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