こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
2024年のアメリカ不動産市場予想についてお伝えしています。
今はまさに年の瀬ですが、私(佐藤)のお客様の中にも物件を精力的に探していらっしゃる方々は数多くいます。
そしてお客様から頂戴するご質問に共通することがあります。
それは
「市場に物件がほとんどないのはなぜですか?」
というご質問です。
物件を購入する上で、ここ南カリフォルニアではそれなりの金額になります。
- 現金購入
- ファイナンシング購入
のいずれであれ、購入される皆様はそれなりの覚悟をもって購入に踏み切るものです。
けれども、仮に自分が気に入った物件が市場に出ていたとしても、周囲の物件がほとんど売りに出されていないとすればどうでしょう。
市場に出ている売り物件はほとんどなく、自分が気に入った物件がポツンとある状態。
オファーしようと思えばオファーできますし、また値下げを狙おうと思えば、とりわけ今の時期は有利です。
けれども周囲にほとんど物件が出ていない状態だと
「自分は独り相撲をとっているのでは?」
「いい物件に巡り合えてうれしいけれども、張り切っているのはひょっとして自分だけ?」
「高い買い物をしても、市場の流れに逆行しているのでは」
「なんなら、私はババを引かされようとしているのでは。。」
そんな風に心配になってしまうものです。
けれどもこの理由は、昨日までにお伝えした内容を知る私たちとしては全く別の見方になります。
すなわち
「せっかくパンデミック下に低金利を掴むことが出来たのに、わざわざ手放そうとは思わない」
「それどころか今の時期に購入すると、とんでもなく高い金利を掴まされることになる」
そう考える物件オーナーたちはおっかなびっくりで、とても自分の物件を市場に出そうとは思わないのです。
ましてや今のような年末はアメリカ不動産市場の年間サイクルから考えると、それでなくとも売買の動きは鈍くなります。
ということは
「なんなら、私はババを引かされようとしているのでは。。」
ではなく、売主にとっては売りにくい状況が続いているわけですから
「可能な限り値切れる絶好のチャンス!」
なのです。
結果として今の時期は現金購入の人々こそ、いよいよチャンスが訪れています。
この見えない、もっぱら人々の心理から派生するカラクリに築けば、来年に向けても有利な取引ができるはずなのです。
そこで今日は来年のアメリカ不動産市場の在庫に焦点を当てていきましょう。
そして中古物件はさらに枯渇する
まずはrealtor.comの統計から、物件在庫の推移を表すグラフを見てみましょう。
上のグラフを見れば一目瞭然ですが、実を言えばパンデミック以前から住宅在庫は長期にわたりゆっくりと減少し続けていました。
いっても、米国の人口は今でも増え続けています。
人口増 = 住宅需要増
です。
けれども年々増え続ける住宅需要にも関わらず十分な新築建築は行われてこず、結果として住の供給は世間の住宅需要に追い付かなかったのです。
ここにあいまいな中間の答えは存在せず、住宅需要増にも関わらず供給数が増えないのならば答えは分かりきっています。
実に物件所有者および賃貸の空室率は、歴史的平均を下回っていた経緯があります。
けれども中古住宅市場が低迷している一方でデベロッパー各社は需要増のペースに追いつきつつあり、一戸建て住宅の建設はパンデミック前の水準近く、そしてマルチファミリー物件については記録的なレベルに達しています。
ところがです。
それにもかかわらず、住宅の供給不足は住宅市場において痛いほど明らかでした。
市場に出ている既存住宅の数は依然として減少しています。
2024年には住宅販売活動が比較的低調に続く中、市場に存在する未売却の住宅の数も低いままであることが予想されています。
住宅ローンの金利は和らぐと予想されているものの、年間平均では6.5%を超えるあたり。
このことは市場の
- 住宅ローン金利
- 中古住宅所有者が享受している金利
とのギャップである「ロックイン効果」が引き続き起こることを意味します。
実に現存する住宅ローンの約3分の2が4%未満の金利で、90%以上が6%未満の金利なのです。
そして上の統計からも分かるとおり、2024年にはこの在庫レベルがより深刻な水準に落ちていくことが予想されています。
厳密には
- 新築物件
- 賃貸物件
についてはそれなりに充実するものの、売りに出される中古物件数は14.7%も下落する、というのです。
そしてこの中古物件の枯渇が、物件価格を大きくは下げない大きな要因となります。
アメリカ不動産市場に注目する世界中の投資家たちが
「そろそろアメリカ不動産は大きく下落するはずだ」
と期待しつつも、なかなか価格が落ちてこなかった理由はこの供給不足にもあるのです。
ただし仮に来年が上のグラフのように推移する場合、少なくとも経済的に準備が出来ている買主にとっては
「値段を大きく買いたたける好機が続く」
ということは間違いないように思います。