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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
テネシー州メンフィス市への不動産投資を検証しています。
昨日までは不動産市場の需要の三大要素
- 人口
- 人口動態
- 雇用・賃金
の中で、年代別を踏まえた人口の傾向と雇用変化を見てきました。
メンフィスの人口については2010年からそれまでの人口増加が頭打ちになり微増の傾向に転じていますが、世代別の人口は理想的なピラミッド型になっていること、またフェデックスやナイキのような大企業が腰を据えていることからも
「将来メンフィスの人口が大きく減少する可能性は低い」
ことが分かりました。
また雇用については製造業、金融業、情報業等は軒並み米国の東西海岸か海外に出て行ってしまっていますが、その反対に卸売業は景気に影響されるものも現在までに大きく雇用が回復、また知的専門職やヘルスサポート分野が大きく伸び、とりわけヘルスサポート関係は景気に関係なく雇用機会が増えていることが分かりました。
全体としてメンフィスの雇用は伸びており、人口の微増を加味すると街全体の雇用率そのものが伸びていることが分かります。
総じていえば、人口と雇用関係を見ると
「メンフィス不動産市場は物件価格が急上昇する要素はないものの、安定型」
と言えるようです。
今日は不動産需要を支える要素の最後である「賃金」について見ていきますが、メンフィスの賃金事情を見る前に全米の賃金事情を俯瞰した方が分かりやすいので、2017年時点のアメリカの最低賃金と賃貸の関係をざっくり見ていきましょう。
アメリカで2ベッドルームの賃貸を考えてみた場合
当然のことながら、給与と賃貸は密接に関係しています。
お給料が十分であれば家賃を支払うのに余裕があるわけで、家賃の心配をする必要がなくかつ暮らす場所が概ね気に入っているのであれば長く暮らし続ける(もしくは持ち家を買う)でしょうし、更に給与が上がればそれまで以上の賃貸物件に引っ越すことも考えられます。
またそれとは反対に給与が低い、もしくは給与がカットされる傾向にある職場で働いているのであれば数ヵ月先の家賃が支払えるか心配になってしまいますし、早晩に賃貸の安い物件に引っ越すこともあるわけです。
このように住宅の賃貸に大きく影響する給与ですが、実際には暮らすにあたりどれだけの最低賃金が必要となるのでしょうか。
まず、アメリカ全体でみれば州と都市により最低賃金に大きな違いがあります。
例えばジョージア州のいくつかの郡(カウンティ)では会社から支払われる賃金の最低額が$11.46なのに対し、サンフランシスコ近辺で支給されている最低賃金は$58.04と様々です。
下記の図をご覧ください。
(出典:National Low Income Housing Coalitionより)
上の図は2ベッドルームのアパートを賃貸した場合に必要となる最低賃金の目安です。
最も賃貸にお金がかかる州はハワイ州で、2ベッドルームのアパートを借りるのに$35.20の時給が必要となります。他州の例では
コロンビア自治区 $33.58
カリフォルニア州で$30.92
メリーランド州で$28.27
ニューヨークで$28.08
となっています。
賃金上昇率が家賃上昇率に追いつかない事実
ここから問題が浮き彫りになってきます。
例えばコロンビア自治区の最低賃金は$12.50ですが、片親が平均的な$1746の2ベッドルームアパートを借りるのには$69,840の年収が必要という話になるのです。
これを細かく計算してみると、連邦政府が定めているコロンビア自治区の$12.50という最低賃金で働くのであれば週に117時間働くか、フルタイムの仕事を三つ掛け持ちしなくてはならない計算になります。
つまり、最低賃金と家賃が全く釣り合っていないということです。
実際、職業別で見ると今のままの賃貸料の上昇率では2024年までに多くの職業で「どうあっても賃貸料を賄えない給料」になると予想されています。職種例としては
- 介護
- 看護婦アシスタント
- 在宅ヘルスサポート
- 小売業者
等で、これらの職種では平均賃金が$10~$16の時給ですので連邦政府が定める貧困層のレベルよりも低いのですが、この賃金ではどの州でもワンルームアパートですら借りれない計算になるのです。
アメリカの1ベッドルームアパートの平均賃料は控えめに見ても$892で、2ベッドルームであれば平均$1,103になります。結果として、アメリカの1220万世帯以上が収入の半分以上を住宅賃貸に費やす必要があるのです。
そしてアメリカ国勢調査局(Census Bureau)の統計によると2007年のサブプライム問題から2015年にかけて全米の賃貸料は平均で6%上昇したが、一方で世帯収入は4%下がっている事実があります。
現在のところ、近い将来もこのまま住宅の賃貸市場は家賃が上昇し続けかつ空室率が下がる傾向は変わらないと予想されています。
ただ、アメリカ全体で持ち家率が下がり賃貸率が上昇している傾向は、不動産投資家にしてみれば大きな安心材料ともいえるのも事実です。
メンフィスの賃金の変化
アメリカ全体の傾向を捉えた上で、メンフィスの賃金の変化を見ていきましょう。
(出典:セントルイス連邦準備銀行統計より)
上のグラフはメンフィスの時給の変化を表しています。
2007年のサブプライム問題の影響を大きく受けてメンフィスでも時給が下がり続け、2011年には$19.40まで時給平均が下がりました。賃金カットが繰り返されてきた様相がよく分かります。
しかしながらメンフィスの賃金事情はその後は持ち直し、2017年10月の時点で$22.10まで回復しているのです。現在は時期に左右されながらも上昇傾向にあり、大きな景気後退がない限りはこのまま上昇傾向が続くものと思われます。
そして先に示した統計に添えば、テネシー州で2ベッドルームのアパートを賃貸するのに必要な賃金は時給$15.34ですから、平均で見れば労働者の方々は2ベッドルームを借りる余裕があるということになります。
まとめ
このように、不動産市場需要の三大要素
- 人口
- 人口動態
- 雇用・賃金
の中の賃金においてもメンフィスでは
- 景気に大きく左右されるものの、近年はメンフィスの時給平均が$22台まで回復してきている
- メンフィスでは2ベッドルームを賃貸するのにも十分な平均時給が支払われている
ということが分かりました。
結果としてはメンフィスでは比較的安定している雇用率と賃金の傾向がみられますので、不動産賃貸市場においては堅調な傾向が予想されると思います。
明日はメンフィス不動産市場検証編のクライマックス、メンフィスの賃貸事情について深く見ていきましょう。
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