昨年以来、米ドルで資産運用を志す方々からのコンサルティング依頼が急増しています。
弊社ではアメリカ不動産コンサルティングに加え、州規制当局に登録されるRegistered Investment Advisor (RIA)としてアメリカ国内での資産運用全般のコンサルティングも提供しており、内容は不動産投資以外となりますが、初心者の方々からのご質問を総括する意図で株や債券に関するまとめ記事を1月7日から期間限定であげさせて頂きます。
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こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
- 法人名義所有
- 個人名義所有
の違いに引き続き、保険についてお伝えしています。
最近の項に関する補足となりますが
「法的シールド(盾)の理由から法人が良い」
とお伝えするものの、それでは
「法人であれば絶対に大丈夫か?」
といえば、そんなこともありません。
訴訟となるパターンは様々ですが、物件オーナーとしては故意に怪我をさせた意図など皆無でもテナント(原告)が雇う弁護士は所有が法人となっている場合は
「いかに法人のシールド(盾)を破るか」
に意識を集中してきます。
そして実際のところは過去の訴訟ケースの48%で法人のシールド(盾)を超えて賠償命令の結果となっている統計もあり、2件に1件は法人の枠を超えて賠償命令に至っているのです。
ただし多くの場合、
「法人で所有していても、適切な法人運用がなされていなかった」
という場合がほとんどであり、より不動産運用に適正化された法人体制に仕上げる意味でも
「自分で不動産投資を実践している弁護士に支援してもらうのが一番よい」
と思うのです。
そしてそう考えると、いよいよ欠かせないセーフティーネットは
「物件に掛けられた保険」
であることが分かります。
そこで前回と今回のシリーズ内容をもって
「物件所有は法人であることが必須なのか」
といえば決してそんなことはなく個人の事情で判断されることであると同時に、個人で所有される場合は
「万が一に備えて賠償への備えを十分にしておく」
という考えが大切なように思います。
本日も続けます。
Lloyd(ロイド)について
昨日はロンドン発の世界最大保険であるLloyd(ロイド)について触れました。
エドワード・ロイドが1686年にロンドンで始めたコーヒーショップが海洋保険を手掛けるようになったのが保険会社としてのLloyd(ロイド)の始まりです。
当時はイギリスを始め
「海を制するものが世界を制する」
という時代でしたから、海洋保険の種類も活発であったことは想像に難くありません。
エドワード氏もその流れで保険業に進出したものと思いますが、まさか自分が始めた海洋保険のサービスが後に世界最大規模となり、世界の投資家から知られる存在になるとは思いもしなかったのではないでしょうか。
ちなみに厳密にいえば現代のLloyd(ロイド)そのものは会社ではなく、日本語的に言えば
「互助会」
の性質が強いシンジケートです。
通常のアメリカの保険会社は
- 直接保険(その保険会社が直接補償を支払うパターン)
- 関節保険(保険代理店が取り扱うパターン)
の2種類がありますが、このどちらも大本の保険会社が補償を担う体制となります。
これに対してLloyd(ロイド)の場合は
The Lloyd's Act 1871(1871年ロイド法)
を基盤とする互助会の性質があります。
すなわち複数の
- 金融機関
- プライベート投資家
等から成るグループで互助会的に運営がなされ、一保険会社の枠を超える形での保険市場が確立されているわけです。
かくして時代の流れとともに互助会の性質を持つLloyd(ロイド)はアメリカにも広まり、私(佐藤)が知る限り賃貸物件用の保険としてもアメリカ最大手の一つとなっています。
Lloyd(ロイド)の強み
そこでアメリカ不動産物件を所有する方々の中で賃貸物件を購入し、保険会社を通して補償証明を手に入れた際にその証明の表には自分が契約したはずの保険会社名ではなく
「Lloyd」
と書かれている場合があるかもしれません。
その場合はあくまでも保険代理店を通しての契約であり、その保険代理店が
Lloyd(ロイド) を取り扱っていることになります。
そしてLloyd(ロイド)保険の一番の強みは「価格の競争力」にあり、これをパソコンに例えるのであれば
「余計なソフトはプレインストールされていない、必要な機能のみを揃えたパソコン」
のようなもので、本シリーズの趣旨から最も気に留めておきたい損害賠償に対する保険は元より、賃貸物件を運用する上で最低限の補償内容に絞られています。
そこでもしも
「基本的に通常の物件修繕で保険を使用することはない」
「火事等の不慮の災時にはしっかりと保険を適用させたい」
「賠償責任が発生した時の為に備えたい」
という必要最低限で満足な投資家の場合、Lloyd(ロイド)の保険で十分かもしれません。
とはいえ、Lloyd(ロイド)の場合は
- 最低限の補償内容
- シンジケート方式(互助会のようなもの)
という点から高い競争力がありますが、その一方で補償対象となるのは
「1戸〜4戸までの住居用物件」
のみとなるので注意が必要です。
住居用であれば
- 個人所有
- 法人所有
のどちらにも対応しており、住居用物件の範囲であれば他の各種保険会社と比較した時に十分な競争力があると思います。
また、反対に
「賃貸用物件に対する最低限の保険のみならず、他にも補償を手厚くしておきたい」
と考える場合は昨日までにご紹介したような米国大手保険会社を選ぶ方が無難かと思います。
そこで最低限の補償内容に絞る場合、どのような保険項目が補償内容には含まれているべきでしょうか。
実際のLloyd(ロイド)の保険をもって投資家として最低限押さえておくべき項目をみていきましょう。
明日に続けます。
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