こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
一昨日までのシリーズにて
「セルフフリップの段取り」
についてお伝えしました。
自分が暮らす場所からおいそれと訪れることの出来ない遠隔地での不動産投資を想定して大まかに概要をお伝えしたつもりですが、オフマーケット市場に関しては実にここからいよいよ熱を帯びてくると思います。
前提として、
「アメリカ市場はこれから落ち目になるのか?」
「或いは投資対象としてはまだいけるのか?」
といえば、その答えは「然るべき手法で適切な手順に従うのなら」間違いなく後者です。
まだいけるというよりも、経済サイクルがどんな状況にあろうとも着実に実績を積み上げていけるのがアメリカ不動産投資ですし、その確固たる結果の真因は
「途絶えることのない住環境への需要」
にあります。
人間、生きていくからには屋根は確実に必要です。
住に対する需要が失われることは決してなく、ここからの時期に賃貸需要は安定するのか、或いは減少していくのかといえば
「賃貸需要はより高まってくる」
これはほぼ間違いありません。
なぜなら、特に今からの時期は
「モーゲージ金利上昇により物件購入を控える人々が増える」
からです。
それでなくとも近年は不動産価格が随分上昇しており、ここまで高額になると
「おいそれと購入に踏み切れない」
と考える人々が大多数です。
ここに加えて本年は実質ゼロ金利政策が終了し、不動産業界においてはモーゲージ金利の上昇という形で影響を受ける中で
⇒ 物件価格の上昇
⇒ モーゲージ金利の上昇
このダブルパンチで急速に需要が冷え込み始めているわけですが、このことは即ち
「少し前まではモーゲージローンを組んで物件を購入出来た」
「けれども今は様子を見たい」
とする人々の反応を示しており、逆の見方をすれば
「賃貸市場にとっては、優良な(余裕で入居審査を通過出来る)テナント候補が増えている」
のです。
このことは何も高い家賃の物件の話のみならず、その優良なテナント候補はあらゆる家賃レベルの物件でも
「入居審査を余裕で通過する優良テナント候補が増えている」
ことになります。
その意味ではアメリカ不動産賃貸市場はここから更に需要の底が固くなると思いますし、賃貸物件所有を諦める理由は何一つないことになります。
数字でディールを見極める

そこでいよいよ賃貸需要が拡充してくるアメリカ不動産市場において投資対象とするべき物件カテゴリーは様々ある中で、
Affordable Housing(アフォーダブルハウジング:手ごろな賃貸価格の住居)
は最も需要が安定してくる部類に入ると思います。
需要としては一戸建てでも
2ベッド
3ベッド
のいずれでも十分な需要が見込まれるものです。
そして投資視点では、今からの時期に最もよい不動産市場への入り方は
1.オフマーケット物件を探し、安くで購入する
2.フルリノベーションを実施する
3.テナントをつける
4.リファイナンスする
の手順が最適であることは前回のシリーズでお伝えした通りですが、その労は優良テナントの増加を受けて十分に報われるタイミングに入り始めています。
一昨日までのシリーズではこの一連の流れをセルフフリップとして実施するポイントをお伝えしましたが、ここからいよいよ深まる好機を掴む上では
「このフリッププロジェクトはどれくらいのリターンをもたらしてくれるのか?」
この問いをもって、自分自身に対して明確に回答しなくてはなりません。
いくらセルフフリップの手順を卒なくこなすことが出来たとしても、そのプロジェクトが十分な利益をもたらさないのであれば最悪の場合
「労多く益少なし」
の典型に終わってしまいかねないからです。
そこでセルフフリップの流れを知ると同時に、対象市場に精通するブローカー/エージェントから案件が持ち込まれた時にはどのようにして
「この案件を進めるべきか否か」
を判断するべきでしょうか。
その調査対象は
- 物件状態
- 物件周辺
- ご近所
等の様々な要素がありますが、何よりも欠かしてはならないのは
「数字による投資可否の判断」
です。
実用的な数字判断を

不動産投資においてもその成否を測る尺度としては当然ながら数字が使われます。
「ラグジュアリーな素晴らしい物件」
は結構ですが、その素晴らしい物件が素晴らしい数字をリターンとして跳ね返してくれるかは全く別の話。
むしろ豪華で見栄えする物件は数字としてのリターンは甚だ成績が悪くなるのが常です。
一面、然るべき市場の価値の高い物件であればキャッシュフローは悪くとも
「順調に物件価値は上昇していく」
と言えますので必ずしも失敗と定義される必要はないのですが、少なくとも
「ポジティブキャッシュフローが欲しい」
或いは
「生み出されるキャッシュを生活の足しにしていきたい」
ということであれば、やはりキャッシュフローにこだわる必要があります。
そこでキャッシュフロー投資を拡充する意味合いで投資対象を検討する時、数字でその成果を測るには
「キャッシュフローレベルを測定できる計算式」
を使う必要があります。
そこで今回は前回のセルフフリップの手順に引き続き、今度は
「投資実行可否を判断する数字目安」
について見ていきましょう。
右も左も分からない時には
「どの物件をどの基準でその良し悪しを判断すればいいのか分からない」
ものですが、これらの数字判断基準を身につけておけばより的確に慌てずに
「この物件は投資候補になる」
「この物件は避けておきたい」
と判断が出来ることになります。
ここから、より実践的な数字の使い方で投資対象を見定める技術の一端を見ていきましょう。
明日に続けます。