こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
マルチファミリー物件に関してよくある
「マルチファミリーは初めての投資に適しているのでしょうか?」
という趣旨の質問についてお伝えしています。
昨日は末尾に「ハウスハッキング」について触れましたが、私(佐藤)が若いころに戻って社会人一年目だったとしたら、まず間違いなくハウスハッキングから社会人をスタートさせます。
この点は誰もが共通して納得することかと思いますが、およそ人生の中で出費が最も大きいものが「住」です。
社会人になった後にも自宅で両親と暮らすような立場でない限り、或いはローンを完済した物件を所有する立場でない限りは
賃貸物件家賃を支払う
モーゲージローンを支払う
このいずれかは確実に発生しますし、年間を通した出費としてはここが一番大きいのです。
特に親元を離れて社会人として活動を開始する場合、最初はお給料そのものが高くないことから、殊の外家賃/モーゲージローンの支払いは大きく感じるものです。
⇒ 家賃/モーゲージローンを毎月発生する生活
⇒ 家賃/モーゲージローンがない生活
この2つがどれだけの差を生むかは自明の理です。
またアメリカでモーゲージローンを組む場合は最低でも過去2年間の所得が問われることになりますが、ここは案外知られていませんが、新卒の場合は「初月の給与明細」のみで良しとされることが多いのです。
その為、社会人一年目の若者は小規模なマルチファミリーでハウスハッキングをするところから開始すると、生活がのっけから楽になると思います。
そこで昨日はマルチファミリーの利点について見ていきましたが、多角的に知るうえでマルチファミリーの欠点についても焦点を当ててみましょう。
本日も続けます。
マルチファミリーのデメリット

資金調達がより困難
マルチファミリー物件の場合、4戸のフォープレックスまでは住居用の範囲で融資が可能になりますが、5つ以上のユニットを持つマルチファミリー物件は、融資審査の際に一戸建て物件とは全く異なる商業物件として扱われることになります。
住居用物件
商業用物件
これら2つの資金調達は全く違い、率直に、商業用モーゲージはより困難です。
また住居用モーゲージと比べると
- 大きな頭金が必要
- 金利が高め
- ローン期間が短い
- バルーン払いを含むことが多い
等のマイナス点もあります。
この融資条件の難しさが、マルチファミリー物件からスタートする場合の難しさにもなるわけです。
売却がより困難
またマルチファミリー物件の難しさの一つに、売却が比較的難しいことがあげられます。
率直に、
マルチファミリー物件の購入希望者
一戸建て物件の購入希望者
これらを比較する時、どちらが多いかは簡単に想像できるものではないでしょうか。
加えて、マルチファミリー物件を購入する法人・個人はまず間違いなく
「極力安く購入したい投資家」
です。
そこで
家賃が市場平均よりもかなり高い
地域の他のマルチファミリー物件にはない付加価値がある
等の特異な状況にない限り、
予想以上の巨額の利益を得られる
かなり短期間に売却が完了する
ということは期待できないと思います。
テナント間の問題が多い
昨日のマルチファミリー物件のメリットとして、
「テナントによる自主監視が起こり得る」
と触れましたが、これはその物件で暮らすテナントが、自分にも害が及びえると自覚した時に自発的におかしな人物をプロパティマネージャーに通報してくれることにあります。
けれどもその反対もしかりで、マルチファミリー物件にはより多くのテナントがおり、テナントがいる分、テナント間の問題も発生しやすいのです。
そして全てのテナントがその不満を訴える先はどこかといえば、物件オーナーになります。
実際は直接の窓口はプロパティマネージャーですが、その問題解決方法を決断するのは、プロパティマネージャーから報告を受けたあなた自身なのです。
かくしてマルチファミリー物件を所有すると、人間関係の問題が劇的に増加することは十分にあり得ます。
ちなみにこのテナント間の問題というのも市場や物件のクラスによって、異なるタイプのテナント間の問題が発生するものです。
高級物件のテナント
低所得層のテナント
には、それぞれ異なる状況や問題が起こります。
管理の専門知識が必要
ここは当ブログでもたびたび触れる事実ですが、
不動産投資 = 不動産事業
です。
「不動産投資はパッシブインカム(不労所得)の類だ」
と言いたいところですが、現実にはそんなことはなく、物件オーナーとして判断を仰がれる場面はたびたびあります。
もっぱら、この点はマルチファミリー物件のみならず全ての種類の物件に言えることですが、強いてこれをデメリットと呼ぶのであれば
不動産物件を所有する = 事業種になる
と言えますから、経営者としての覚悟が必要になるわけです。
そこで弊社のクライアント様方の中にも、英語でのコミュニケーションは問題なくとも管理支援のサービスをお求めになる方々は数多くいらっしゃいます。
特に始めてのアメリカ不動産投資であれば
「水先案内人がいた方が安心」
という心の安心感は大きいものですし、とりわけ
「正業が忙しい。けれども不動産投資も首尾よく進めたい」
という方々の場合、経験者が運営に共に携わることでの心の安心感は大きいと思うのです。
。。。
かくして、最初からマルチファミリー物件への不動産投資に取り組みたい場合、最初は小さく始めることをお勧めします。
2戸のデュープレックス物件
3戸のトリプレックス物件
4戸のデュープレックス物件
あたりから開始し、マルチファミリー不動産投資を試して、
「不動産物件の運用とはどんなものか」
「そもそも、不動産投資は自分に合っているのか」
等を判断するのです。
規模が小さければ一般的に取得も容易であり、資金調達や管理も簡単です。
また、うまくいかない場合は比較的に簡単に手放すこともできます。
「初めての投資としてマルチファミリー物件は良い選択肢ですか?」
と問われれば、
「不動産で資産を積み上げる場合、いつかは通らねばならない登竜門」
「けれども最初からマルチファミリー物件かは、自分の状況と覚悟次第」
そんな答えになるように思います。
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