こんにちは。アメリカで不動産エージェント兼コンサルタントとして働く佐藤です。
年の瀬にあたり来年2024年のアメリカ不動産市場の見立てについてお伝えしています。
このように書きながらつくづく思うのですが、
「アメリカ不動産はやはり頼もしい」
と思います。
ポジショントークではなく、統計を元に事実を見ると米国という国の経済力の地盤があって、その上に衣食住の一つである「住」への投資はやはり信頼できると思うのです。
実際のところ、アメリカ不動産市場の動きとしては本年も
⇒ パンデミック以降の資産バブルの行き過ぎにブレーキがかかりつつ
⇒ 米国経済の底力と需要で大きく値崩れしていない
そんな印象をもっています。
実際のところ高いモーゲージ金利に押されてジワリジワリト販売数そのものが減少しているのですが、思ったほど価格は落ちていかないのです。
昨日までに来年の傾向を見ていきましたが、最後の締めくくりとしてさまざまな視点からの推移を小出しの見出し形式でまとめて見ていきましょう。
キーになる住宅販売実績
通常、9月の契約中住宅販売数宇は住宅市場の現在の状況を鮮明に映し出す傾向があります。
昨年2022年10月には保留中の住宅販売が前月比1.5%減少し、2001年のデータ収集開始以来の最低レベルに落ち込むという事態になりました。
ここで注目しておきたいのは、これが
「住宅ローンの金利が数十年ぶりの高水準に達したことによる影響だった」
ということです。
さらに新築住宅の販売も減少しましたが、中古住宅供給の減少という背景のもとで新築物件への関心が高まってきたことも見逃せます。
かくして、アメリカ不動産市場の年間サイクルでいうピークタイムの清算ともいえる9月の傾向は大きな指針となるのです。
そして中古住宅市場と新築住宅市場の動向は、実に対照的です。
中古住宅市場では在庫が限られ、ローン金利の上昇が購入者にとっての大きな壁になっています。
これに対して新築住宅市場ではデベロッパーによる建設活動が活発化し、新しい住宅供給の兆しを見せている段階です。
これら二つの対照的な動きは住宅市場の短期的な課題と長期的な展望の両方を浮き彫りにするもので、来年以降の市場動向を考える上で重要な指標になるわけです。
そして契約中の住宅販売やクロージングに至った数の統計もまた、購入者が直面している現状を浮き彫りにします。
限られた選択肢と高い住宅価格の中で中古住宅市場の販売活動は低迷しているわけで、このことは来年を含む今後数ヶ月間この傾向が続くことは必至です。
その一方で賃貸市場は家賃が下落しており、賃貸物件の選択は新しい選択肢としての魅力を高めることになります。
また、地域によっては住宅市場の動向に大きな違いが見られることも事実です。
例えば興味深いことに北東部では契約中の住宅販売指数が増加していますが、他の地域では減少傾向にあります。
これは経済状況や住宅市場の特性が地域ごとに異なるためで、今の時期には意外にも北東部の方が経済状況としても活発化してきていることが分かります。
そして2024年に向けての市場予測に目を転じると、引き続き予想されるのは大きな変化です。
既存住宅販売はやや低下した価格と住宅ローン金利の緩和により、前年とほぼ同じレベルで推移すると見込まれています。
このことは購入者が依然として限られた在庫と高い価格に直面している一方で、一戸建ての住宅着工がわずかに増加することにより多くの選択肢が提供されるからです。
先に振れた地域市場の違いを数字で見ると、契約中の中古住宅販売指数は北東部で前月比2.7%増加したものの
中西部(-0.4%)
南部(-1.9%)
西部(-6.0%)
と減少しています。
前年比では4つの地域すべてが減少し、北東部の6.5%減少から西部の10.8%までの減少範囲です。
そして中古物件販売は2022年よりも大幅に低いレベルで年を終える見通しですが、市場は2024年に変化し始めることはほぼ間違いありません。
購入希望者は引き続き手頃な価格では購入できない問題に直面するものの、やや低い価格と緩和された住宅ローン金利により中古住宅販売は2024年に前年とほぼ同じレベル(+0.1%)を維持すると予想されています。
また引き続き在庫不足により希望物件が見つからない状況は変わらないものの、一戸建ての住宅着工がわずかに増加し、購入希望者により多くの選択肢を提供することになると予想されています。
特に賃貸市場では新しい賃貸物件の供給が増えることで家賃がさらに緩和されると予想されており、このことは物件購入希望者だけでなく賃貸を選択する人々にとっても、より手頃な選択肢になり得ます。
また
「家賃がこの状況であれば、物件購入はもうしばらく様子を見よう」
そんな気運にもつながるのではないでしょうか。
。。。
あらゆるデータをみていくとその押し引きが実によく分かりますが、総じて言えば、2024年については
「物件購入はもはや難しい時代になった」
から
「ようやく住宅市場は落ち着いてきた」
そんな認識に代わっていきそうです。
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